カリキュラム / 第5章 コード種の網羅 応用

テンション(9th) ― 響きに“色”を足す

コードの役割は変えずに、質感だけを上質にする。シティポップ的な洗練を生むテンション、その入り口が9th。

三和音(3つの音)から、セブンス(4つの音)へと、コードは音を積み重ねて豊かになってきました。では、その さらに上 に音を積んだら、どうなるでしょう。生まれるのは、より繊細で洗練された、大人びた響きです。この“上に積み足す音”を テンション と呼び、いちばんの入り口が 9th(ナインス) です。今回で、明るい・暗いから始まったコードの世界がぐっと広がります。

9thってどこの音?

9thは、名前だけ見ると難しそうですが、正体はシンプルです。ルートの 2度上 の音、つまりCなら隣の「レ(D)」を、1オクターブ高く した音のことです。9番目、という数字は「ルートから数えて2度=2番目の音を、1オクターブ上げると9番目にあたる」ことから来ています。

低い位置にある2度は、ルートとぶつかって濁りがちですが、1オクターブ上げて三和音や7thの上にそっと乗せると、こんどは透明感やキラキラ感として効いてきます。同じ音でも、置く高さで役割が変わるのが面白いところです。

つまずきポイント:「9thってすごく高い特別な音?」と身構えなくて大丈夫。もとをたどればルートのすぐ隣の音(2度)です。それを1オクターブ上げて“色づけ用”に使っている、それだけのことです。

まずは add9 と maj9 から

テンションの世界は広いので、まずは代表的な2つに絞りましょう。ひとつは add9。三和音にそのまま9thを足したコードで、7thは含みません(Cadd9=ド・ミ・ソ・レ)。素朴なコードに、キラッとひとしずくの透明感を加える感覚です。

もうひとつは maj9。こちらは maj7(大人っぽい7th)に9thを重ねたもので、Cmaj9なら「ド・ミ・ソ・シ・レ」。音が多いぶん、より上質で浮遊感のある響きになります。同じ仲間で、マイナーコードに9thを乗せた m9(Dm9=レ・ファ・ラ・ド・ミ)は、都会的でしっとりした表情になります。

「音で確認しよう」で C → Cadd9 → Cmaj9 と順に鳴らしてみてください。同じ「C」なのに、響きがどんどん“上質”になっていくのが、耳ではっきり分かるはずです。

テンションは「役割はそのまま、化粧だけ足す」

いちばん大事な考え方は、テンションを足しても コードの役割(トニック・ドミナント・サブドミナント)は変わらない ということです。Cmaj9 は、音が増えても中身はあくまでトニック(曲の“家”)。テンションは進行の役割を変えるものではなく、あくまで色づけ・化粧なのです。

ここが大事:だから使い方はシンプルです。「この進行、なんだか素朴すぎるな」と感じたら、いつものコードを 7th → 9th と厚くしてみましょう。役割は崩さないまま、シティポップのような洗練だけが手に入ります。

第5章のまとめ

sus(まん中の音をずらす)、aug・dim(いちばん上の音をずらす)、そしてテンション(さらに上へ積む)。メジャー/マイナー以外の“コードの種類”が、これで出そろいました。9thの先には 11th・13th、それらを半音変化させた オルタード・テンション というジャズ的な世界も広がっていますが、まずは9thを自在に使えることを目標にしましょう。次章からは、これらを実際の曲で活かすポップスの技法へ進みます。

🔊 音で確認しよう

ボタンをタップすると音が鳴ります。理屈と響きは、セットで覚えるのがいちばんの近道です。

QUIZ理解度チェック

習ったことを3問で確認しましょう。まちがえても解説ですぐ復習できます。

Q1.9th(ナインス)の音は、ルートから見てどんな音?

解説:9thはルートの2度上(Cなら隣のD)を、1オクターブ高くした音です。三和音や7thのさらに上に積む“色づけ”の音なので、下の3度や5度とは役割が違います。

Q2.add9 と maj9 の違いとして正しいものは?

解説:add9は三和音に9thだけを足したもので、7thは入りません。maj9はmaj7も含むぶん音が多く、より厚く浮遊感のある響きになります。

Q3.テンション(9thなど)を足す主な目的は?

解説:テンションはコードの機能(T/D/S)を保ったまま、質感だけを上質にする“化粧”のような音です。役割そのものを変えるわけではありません。