カリキュラム / 第5章 コード種の網羅 応用

6thコード ― maj7でも7thでもない第三の彩り

三和音に長6度を足すだけ。maj7の甘さでも7thのけだるさでもない、まろやかで少しレトロな“第三の彩り”。エンディングのI6とマイナー6thを知る。

前回は、m7♭5という影を帯びた四和音を学びました。今回はうってかわって、まろやかで少しレトロな彩りを持つ 6thコード を紹介します。maj7の甘さでも、7thのけだるさでもない――いわば“第三の彩り”です。

三和音に「長6度」を足すだけ

6thコードの作り方は、とてもシンプルです。ふつうの三和音(メジャートライアド)に、ルートから見た 長6度 の音を一つ足すだけ。Cメジャーなら C6 = ド・ミ・ソ・ラ(C・E・G・A) です。加えたのは「ラ」、これが長6度(ルートから9半音上)にあたります。

7thを積んだときのような大人びた翳りはなく、生まれるのはまろやかで軽やかな空気。どこか懐かしい、昭和歌謡やシティポップの手ざわりです。「音で確認しよう」で、まず素朴な CC6 を続けて鳴らし、ラが一つ増えるだけで角がまるく取れる感じを味わってください。

Cmaj7 との違い、そして add9 の仲間

よく似た位置にいるのが Cmaj7(ド・ミ・ソ・シ) です。違いは、てっぺんに乗る一音だけ。6thは 、maj7は半音上の を乗せます。

コード構成音足した音響き
Cド・ミ・ソ素朴
C6ド・ミ・ソ・ラ長6度(ラ)まろやか・軽やか
Cmaj7ド・ミ・ソ・シ長7度(シ)甘い・浮遊感

たった半音の差ですが、印象はずいぶん変わります。maj7の甘さが強すぎると感じたとき、6thはちょうどいい“ひかえめな代役”になってくれます。

ここが大事:6thも add9 も、7thを経由せずに三和音へ彩りを足す 仲間です。add9 は次のレッスンで学ぶ9thの一種。「7thのけだるさは足したくないけれど、ただの三和音では物足りない」――そんなとき、6thとadd9は同じ役目を果たします。

使いどころ ― 上品なエンディングと、翳りのAm6

いちばんの見せ場は、曲やフレーズの 終わり です。ただのCで終わるより、C6 で締めると角が取れて、余韻がぐっと上品になります。ジャズや昭和歌謡・シティポップが好んだ、おしゃれな終止です。「音で確認しよう」の F → G7 → C6 で、最後の一音が落ち着く先を聴いてください。

マイナーに長6度を足した マイナー6th も魅力的です。Am6 = ラ・ド・ミ・ファ♯。妖しく揺れる翳りを持つこの響きは、じつは第6章のライン・クリシェで、Am → AmM7 → Am7 → Am6 と半音で下りていく、その下降の終点として再会します。今日そっと触れた一音が、のちの技法へつながっているのです。

まとめ

6thは、三和音に長6度(ラ)を足した、まろやかで少しレトロな彩りでした。maj7(シ)との違いはてっぺんの一音、そしてadd9と同じく“7thを通らずに彩る”仲間です。次のレッスンでは、いよいよコードのさらに上へ音を積む“テンション”の世界(9th)へ進みます。

🔊 音で確認しよう

ボタンをタップすると音が鳴ります。理屈と響きは、セットで覚えるのがいちばんの近道です。

QUIZ理解度チェック

習ったことを3問で確認しましょう。まちがえても解説ですぐ復習できます。

Q1.6thコードは、三和音に何の音を足したコードですか?

解説:6thは三和音にルートから長6度上の音を一つ足したコードで、Cなら「ラ」。C6=ド・ミ・ソ・ラです。長7度の「シ」を足せばmaj7、9thの「レ」を足せばadd9になり、完全5度の「ソ」はもともと三和音に含まれる音です。

Q2.C6 と Cmaj7 の違いとして正しいものは?

解説:両者はド・ミ・ソまで同じで、上に乗る一音だけが違います。C6は長6度の「ラ」でまろやか・軽やか、Cmaj7は半音上の長7度「シ」で甘く浮遊した響き。音数はどちらも4音で、ともにメジャー系のコードです。

Q3.曲の最後を C ではなく C6 で締めると、どんな効果がありますか?

解説:I6(Cメジャーなら C6)で終わると、素朴なCよりも角が取れて、上品でレトロな余韻が残ります。ジャズや昭和歌謡・シティポップが好んだ終わり方です。トニックという役割は変わらず、暗くなったりテンポが変わったりもしません。

EAR耳でチェック

音を聴いて答えるクイズです。何度でも再生できます。目をつぶって聴くと、響きの違いに集中できますよ。

Q1.今鳴ったのは、6thコードとmaj7コードのどちら?(てっぺんの一音に注目)

解説:いちばん上の音が「ラ」なら C6、半音上の「シ」なら Cmaj7 です。6thはまろやかで少しレトロ、maj7は甘く浮遊した響き。てっぺんの一音の高さの差に耳を澄ませてみましょう。

BUILD進行を組み立てよう

コードをタップして順番に並べ、進行を完成させましょう。並べた進行は「▶ 聴いてみる」でいつでも試聴できます。響きを確かめながら組むのが作曲の第一歩です。

✓ クリア済み6thで上品に締めるエンディングを作ろう

ヒント:IV → V7 → I6(F → G7 → C6)

解説:F(IV)から G7(V7)で緊張をため、最後を C6(I6)で締めます。ただのCではなく6thで終えることで、角の取れた上品な余韻が生まれます。これがジャズや歌謡曲で愛された“おしゃれな終止”です。