カリキュラム / 第7章 作曲実践 応用

ループ進行 ― 4つのコードで曲を回す

現代ポップスの多くは4小節のコードループの上で作られる。定番ループの“回転”、丸サ進行、そして7thだけで成立するブルース。曲の土台の組み立て方。

前回、同じメロディ音も下のコード次第で表情が変わることを見ました。今回はいよいよ、曲の 土台 そのものを組み立てます。使うのは、たった4つのコード。現代ポップスの多くは、この 4小節のコードループ をぐるぐる回しながら、その上でメロディやアレンジを変えて曲を作っています。

4つのコードを回す

まず世界的な大定番、I→V→vi→IV。Cメジャーなら C→G→Am→F です。明るく開けて、どこまでも進んでいけるような響き。「音で確認しよう」で、まずこの4つのループを聴いてください。

面白いのはここから。同じ4つのコードでも、始める場所を変えるだけで表情が一変します。 同じ C・G・Am・F を vi→IV→I→V(Am→F→C→G)の順で回すと、ぐっと切なくなる。これが“回転”の考え方です。コードを増やさなくても、始点をずらすだけで別の曲の顔になります。

ループ度数例(C調)雰囲気
王道の明るさI→V→vi→IVC→G→Am→F開放的
回転させてvi→IV→I→VAm→F→C→G切ない
丸サ進行IVmaj7→III7→vim7→I7Fmaj7→E7→Am7→C7都会的

丸サ進行のIII7に注目

R&Bやシティポップの定番が 丸サ進行(Just the Two of Us進行)。IVmaj7→III7→vim7→I7 です。ここで光るのが2つめの III7。Cメジャーなら E7。これは第4章で学んだ 二次ドミナント そのもので、次のvi(Am)へ強く帰りたがる“帰りたい力”です。理論の道具が、こんなおしゃれな響きの正体だったわけです。

ここが大事:ループは「同じコードの繰り返し」でも、退屈にはなりません。コードが同じでも、メロディとアレンジを変えれば、Aメロ・Bメロ・サビをしっかり描き分けられます。土台は回し続け、その上の“乗り物”を替えるのがループ作曲のコツです。

ブルースは7thの訛り

もうひとつ、覚えておきたい土台が ブルースの12小節 進行。使うのは I7・IV7・V7 の3つだけ。それだけで一つの世界が完成します。特徴は、すべてのコードに7thが付く こと。「音で確認しよう」のブルースの冒頭 C7→F7→C7 で、あの独特のざらついた味を確かめてください。この“全部セブンス”がブルースの訛りです。

次のレッスンでは、コードの「並び」の次にある大事な設計図――コードを いつ 変えるかという時間の感覚、ハーモニックリズム を学びます。

🔊 音で確認しよう

ボタンをタップすると音が鳴ります。理屈と響きは、セットで覚えるのがいちばんの近道です。

QUIZ理解度チェック

習ったことを3問で確認しましょう。まちがえても解説ですぐ復習できます。

Q1.「ループ進行」で曲を作る、という考え方の説明として正しいものは?

解説:現代ポップスの多くは、短いコードループを土台として回し、その上のメロディやアレンジを変えて曲を組み立てます。コードを毎回変える必要はなく、むしろ同じ土台を活かすのがコツです。

Q2.I→V→vi→IV と vi→IV→I→V の関係として正しいものは?

解説:どちらも C・G・Am・F という同じ4つのコードで、回し始める場所を変えただけです。この“回転”で、明るい響きが切ない響きへと表情を変えます。コード自体は同じものを使っています。

Q3.丸サ進行(IVmaj7→III7→vim7→I7)の「III7」の正体は?

解説:III7(Cメジャーなら E7)は、次のvi=Amへ強く帰りたがる二次ドミナントです。第4章で学んだ“帰りたい力”が、丸サ進行のおしゃれな響きの正体になっています。

EAR耳でチェック

音を聴いて答えるクイズです。何度でも再生できます。目をつぶって聴くと、響きの違いに集中できますよ。

Q1.この4コードのループは、どちらの並びで回っている?

解説:最初に鳴るのが明るいホームのC(I)で、そこから開けていく響きなので I→V→vi→IV です。もし切ないAm(vi)から始まっていれば vi→IV→I→V の回転になります。始点の違いが表情を決めます。

BUILD進行を組み立てよう

コードをタップして順番に並べ、進行を完成させましょう。並べた進行は「▶ 聴いてみる」でいつでも試聴できます。響きを確かめながら組むのが作曲の第一歩です。

✓ クリア済み丸サ進行になるように並べよう

ヒント:IVmaj7 → III7 → vim7 → I7

解説:Fmaj7(IVmaj7)から始まり、二次ドミナントE7(III7)でAm7(vim7)へ導き、最後にC7(I7)で締める――これが丸サ進行です。III7がviへ帰りたがる力で、なめらかな流れが生まれます。