カリキュラム / 第5章 コード種の網羅 応用

augとdim ― 不安定さを“通り道”にする

落ち着かない、次へ進みたくなる響き。第5音をずらして安定を崩した緊張のコードを、味方につける。

前回の sus は、まん中の音をずらして明暗を宙づりにするコードでした。今回はターゲットを変えて、いちばん上の音(第5音) を動かします。すると生まれるのは、明るい・暗いを通り越した、そわそわと落ち着かない緊張のコード。この“落ち着かなさ”を、じつは曲を前へ進める力に変えられるのです。

第5音をずらして、安定を崩す

これまでコードの安定を支えてきたのは、いちばん上の 第5音 でした。ルートとぴったり相性のよいこの音があるおかげで、コードは“どっしり”と鳴っていたのです。その支えを、あえてずらしてみましょう。

第5音を 半音上げる と、aug(オーギュメント=増) になります。Caugなら「ド・ミ・ソ♯」。全体がぐっと開いて、上へ浮き上がるような、宙に持ち上げられる緊張が生まれます。

逆に第5音を 半音下げ、さらにまん中の音も暗いほう(短3度)へ下げると、dim(ディミニッシュ=減) になります。Cdimは「ド・ミ♭・ソ♭」。こちらは不気味で、暗く宙吊りな響きです。dim にもう1音(減7度の「ラ」)を足した dim7(ド・ミ♭・ソ♭・ラ)は、4つの音がすべて等間隔(短3度ずつ)で積まれた、左右対称でミステリアスなコードになります。

ここが大事:sus は「まん中の音」を、aug/dim は「いちばん上の音」をずらす、という違いを押さえましょう。同じ“ずらす”でも、動かす場所が変わると響きの性格もガラッと変わります。

不安定さは「通り道」として活かす

aug も dim も、鳴らしただけでは落ち着きません。ここで「使いにくいコードだ」と思うのは早とちり。その落ち着かなさこそが、次のコードへ進む推進力になるからです。だからこれらは、2つのコードのあいだをつなぐ経過和音(けいかわおん/パッシングコード) として使うのが王道です。

たとえば C → Caug → Am7 と並べると、内側の音が半音ずつじわっと動き、なめらかで色気のあるラインが生まれます。dim も同じく、隣り合うコードの隙間を半音で橋渡しする“通り道”にぴったりです。「音で確認しよう」で C → Caug、C → Cdim を続けて鳴らし、安定が崩れて「どこかへ進みたくなる」あの感覚を確かめてみてください。この“進みたがる力”を狙って置けるようになると、アレンジの説得力がぐっと増します。

つまずきポイント:以前ちらっと登場して保留にしていた vii°(Bdim) も、じつはこの dim の仲間です。「なんだか不安定なコードだな」と感じていたなら、それで正解。ようやくその正体が分かりましたね。

まとめ

aug は第5音を半音上げ、dim は半音下げて、コードの安定をわざと崩したコードでした。生まれる緊張は欠点ではなく、次へ進む力。だから“通り道”として置くのがコツです。次回は、ずらすのではなく、コードの さらに上へ音を積み足して 洗練された色を加える、テンションの世界に入ります。

🔊 音で確認しよう

ボタンをタップすると音が鳴ります。理屈と響きは、セットで覚えるのがいちばんの近道です。

QUIZ理解度チェック

習ったことを3問で確認しましょう。まちがえても解説ですぐ復習できます。

Q1.aug(オーギュメント)は、ふつうのメジャーコードのどこを変えたもの?

解説:augは第5音を半音上げたコードで、Cなら「ド・ミ・ソ♯」になります。まん中の第3音はそのままで、動かすのはいちばん上の音です。

Q2.dim(ディミニッシュ)やdim7の、いちばん一般的な使いどころは?

解説:dimは強い不安定さを持つので、それ単体では落ち着きません。だからコードとコードの隙間を半音でつなぐ“通り道”として使うのが定番です。

Q3.augとdimに共通する性格は?

解説:どちらも第5音をずらして安定を崩したコードで、その緊張が“次へ進みたい力”になります。安定して落ち着くのはむしろ逆の性格です。